ご用心。
季節外れの秋色樹木
~「ナラ枯れ」と地球温暖化~
COLUMN
「ナラ枯れ」とは
ナラ枯れとは、ナラ菌と、これを媒介するカシノナガキクイムシという体長5mmほどの小さな甲虫による樹木の伝染病です。
この虫が被害を与えるのは、ナラ枯れの名の通り「ナラ」の木とよばれるコナラやミズナラだけでなく、クヌギ、シラカシやアラカシ、マテバシイといった樫の木や椎の木の仲間など多くのブナ科植物も含まれます。これらの木の多くは、古くからお寺や神社の社叢林を構成する主要な樹木であると同時に、昔は薪をとるため、現在では公園や街路樹の緑化樹木として植栽される身近なものとなっています。
ナラ枯れを起こしやすいのは、弱った木や歳を経た老齢木が中心で、若くて元気な木は比較的被害にあいにくいことが知られています。

ナラ枯れを生じた木は、夏でも葉が茶色く枯れて、まるで秋の様な状態になります。幹を見ると径1~2mmの穴が開き、そこから「フラス」と呼ばれる粉のようなものが出ています。
大量のキクイムシが入ると、木が枯れてもろくなってしまい、その結果、枝折れや倒木によって周りのものなどを巻き込みながら倒れていくため注意が必要です。

また、ナラ枯れした木には、カエンタケという赤い炎の様なキノコが生えやすくなります。このキノコは猛毒で、触っただけでもやけどのような炎症を起こしてしまうため、絶対に触れないでください 。

近年、ナラ枯れが増えた理由は、樹木自体が年を取って老齢化したり、温暖化に伴う夏季の高温や降雨不足によって樹木自体の活力か低下したりしたことが原因の一つと考えられています。また、カシノナガキクイムシは、冬季に低温状態が続くと、越冬できないことが知られていますが、近年の温暖化に伴う暖冬化が進むと越冬個体が増加し、そのままナラ枯れにつながる危険性が高くなってしまいます。
なお、ナラ枯れを生じた木があった場合は、その木が感染源として、周りにナラ枯れを広める可能性が高いため、倒木前に伐採して被害の広がりを防ぐなど、人の手による森や里山の緑保全が重要になります。
